点検整備は使用者の義務です

点検整備の種類

日常点検整備

日常点検整備は、日頃自動車を使用していく中で、ユーザーの皆さんが自分自身で行うことのできる点検です。この点検は、ユーザーの皆さん自身が運転席にすわったり、エンジンルームをのぞいたり、自動車の周りを回りながら自動車の状態を見たりすることによって、簡単に実施可能なものになっています。

 自家用乗用自動車など、いわゆるマイカーのユーザーの皆さんは、走行距離や運行時の状態などから判断した適切な時期に実施して下さい。

 事業用自動車などの自動車のユーザーの皆さんは、マイカーとは違い、一日一回、その運行の前に実施して下さい。これはトラックやバス、タクシーなどの自動車は、多くの人や物を運搬し、公共性が高く、その社会的影響の大きさから、より確実な点検を実施していただくためのものです。

 ここでは日常点検項目の例としていわゆるマイカーの点検項目と日常点検のやり方、事業用自動車用の日常点検項目(大型車の例)を示します。いずれの場合も、日常点検整備の実施はユーザーの義務として法令に定められています。点検の結果、もし少しでも「いつもと違う…」と感じたら、整備工場に相談してください。

【道路運送車両法第47条の2, 自動車点検基準第1条】

てんけんくんの ~知って納得!クルマの点検・整備~ 日常点検を実施しよう
定期点検整備

定期点検整備は、一般的な構造・装置の自動車に関し標準的な使用を前提として、定期的に行う必要のある点検を定めたものです。日常点検整備は常日頃から行う簡単な点検であるのに対し、定期点検整備は一定間隔ごとに行う、少し大がかりな点検整備です。これも日常点検と同様にユーザーの方の義務となっていますが、専門的な知識・技術も必要なので、国の認証を受けた整備工場に依頼されることも可能です。

 車種や用途によって定期点検整備を行うべき時期、点検項目数が異なっています。以下の表をご覧ください。

 自家用乗用自動車など、いわゆるマイカーのユーザーの皆さんは、下表の通り1年ごとに26項目、2年ごとに1年ごとの26項目を含む計56項目の点検整備を行う必要があります。

 他の車種のユーザーの皆さんも、下表の通りの点検が必要です。

対象自動車(例示) 定期点検の時期 点検項目数
マイカー
(自家用乗用車、軽自動車)
1年ごと 27項目(注 ※11)
2年ごと 57項目(注 ※18)
中小型トラック(自家用)
レンタカー(乗用車)
6ヶ月ごと 22項目(注 ※5)
12ヶ月ごと 83項目(注 ※7)
バス、トラック、タクシー(事業用)
大型トラック(自家用)
レンタカー(乗用車以外)
3ヶ月ごと 50項目(注 ※16)
12ヶ月ごと 100項目(注 ※16)
被牽引自動車 3ヶ月ごと 23項目(注 ※6)
12ヶ月ごと 36項目(注 ※6)
二輪自動車 1年ごと 33項目(注 ※11)
2年ごと 51項目(注 ※11)

注 ※の数値は、走行距離が規定以下(マイカーは年間5千キロ、事業用自動車は3ヶ月間当たり2千キロ等)で、前回の点検を行っている場合に限り、点検を行わないことができる項目数◎定期点検項目は、点検整備記録簿に示されており、自動車メーカーから提供されるメンテナンスノートに添付されています。

【道路運送車両法第48条, 自動車点検基準第2条】

てんけんくんの ~知って納得!クルマの点検・整備~ 定期点検を実施しよう

点検整備記録簿

点検整備記録簿は、点検の結果と整備の概要を記録、保存して、自動車の維持管理に役立てるためのものです。点検整備記録簿を確認することで、過去の点検整備の記録を確認することができたり、消耗部品の交換時期を判断することも可能になります。

 点検整備記録簿は、自動車に備えつけることになっており、一定期間保存することが求められています。(3ヶ月、6ヶ月点検対象車は1年保存、1年点検対象車は2年保存)

 なお、自動車の維持管理を適切に継続していくためにも、この記録簿を可能な限り長期間保存し、自動車の「生涯記録簿」として活用されることが望まれます。

【道路運送車両法第49条】

鈴木さんと佐藤くんの「もっと!知って納得!安心車検!点検整備記録簿編」

点検整備実施方法等の情報

日常点検整備・定期点検整備の実施の方法を理解しやすくするため、国土交通省では法律に基づき「自動車の点検及び整備に関する手引」を作成し、公表しています。また、自動車メーカーは法定点検以外の点検整備の実施にあたって必要となる情報をメンテナンスノートとして、ユーザーに提供しています。これらを参考にして、点検整備を実施するようにしましょう!

【道路運送車両法第57条, 第57条の2】

運送事業者に必要な点検整備

運送事業は人の往来や物流の重要な役割を果たしており、わが国の経済と国民生活に不可欠な存在です。そのために、一般の車両に比べて使用条件も厳しくなっており、運送事業者の点検整備の必要性は大きいものです。運送事業者は、日常点検整備や定期点検整備などの他、自動車の構造、使用の状況等を考慮して、定期に行う点検の基準を作成し、その結果を記録し、必要な整備をしなければなりません。

【貨物自動車運送事業輸送安全規則第13条, 旅客自動車運送事業運輸規則第45条】